微量栄養素はその言葉どおり、一度に大量に摂取する必要がない栄養素です。3大栄養素の過剰摂取の弊害は、想像を絶するほどの過剰摂取でなければ「太る」とかいった程度の(肥満も万病の素ですが……)ものですが、微量栄養素の場合には深刻な弊害を起こすことがあるのでそれだけはご注意を。
私の知り合いのスポーツドクターによると、日々過酷なトレーニングを積むアスリートは微量栄養素の欠乏に大変敏感で、それが災いして!? 過剰摂取による症状が出ている人もいるらしいです。
たとえば、代表的なのが鉄分。女性アスリートは特に鉄が不足しがちといわれているため、鉄をサプリメントから摂取したり、レバーを意識的に食べるなどしている人も多いです。しかし鉄はもともと微量でこと足りるものなので、こうした摂取スタイルだとかなりの確率で過剰摂取になってしまいます。顔に吹き出物や湿疹が異常にできると悩む女性アスリートの話を聞くと、あきらかにそれが鉄の過剰摂取の弊害であることがわかる場合も多々あるそうです。このように医学のプロに言わせれば、微量栄養素の過剰摂取も軽視してはいけないのです。適正基準量は必ず守るようにしてください。
ここでは、前項でご紹介した微量栄養素のみの過剰摂取の弊害を簡単にご説明しましょう。
ビタミンE
適正基準量 男性9mg、女性8mg
過剰摂取の弊害 脂溶性ビタミンなので体に蓄積されるものの、深刻な障害などは発生することはほとんどないといわれています。
βカロテン(ビタミンA)
適正基準量 3.6mg(ビタミンAの場合は男性750μg、女600μg)
過剰摂取の弊害 過剰摂取の心配はないといわれています。いっぽう、ビタミンAは脂溶性で非常に体に蓄積されやすく、重篤な下痢や倦怠感などの深刻な障害を引き起こします。βカロテンは体内で必要量だけビタミンAに変化するので、βカロテンさえ十分に摂っていれば、ビタミンA不足の心配はありません。
ビタミンB2
・適正基準量 男性1.6mg、女性1.2mg
・過剰摂取の弊害 水溶性なので過剰ぶんは排泄され、体には蓄積されません。過剰摂取の心配はないといわれています。
ビタミンC
・適正基準量 男性100mg、女性100mg
・過剰摂取の弊害 まれに下痢などを起こす人もいますが、水溶性なので過剰ぶんは排泄され、体には蓄積されません。それほど神経質になる必要はないと思います。
亜鉛
・適正基準量 男性9mg、女性7mg
・過剰摂取の弊害 極端に摂りすぎれば胃腸障害、吐き気などの中毒症状を起こすこともありますが、日常の食生活くらいでは、こういった障害は発生しない毒性の低い物質です。
セレン
・適正基準量 男性30μg、女性25μg
・過剰摂取の弊害 毒性は低いのですが、妊婦が過剰摂取した場合、催奇形性、流産の恐れもあります。
マグネシウム
・適正基準量 男性340mg、女性270mg
・過剰摂取の弊害 過剰ぶんは排泄され、体には蓄積されませんが、腎臓などに障害のある人は注意が必要です。
銅
・適正基準量 男性0.8mg、女性0.7mg
・過剰摂取の弊害 重篤な過剰摂取についての臨床データは現在までのところはないようです。